環藝録

写真でつなぐ広島風物記録

明月亭

月にぬかずくごとく、円の中に「明月」の文字。
頼杏坪の「縮景園仮名記」にある明月亭の描写。

川ごしに見ゆる野山のすがたよりして、川船ののぼり下るさまにいたるまで、雨によろしく、雪にもあはれふかうして、折々の風情かずおほけれど、山のはを出る月をむかへて、おばしまにより給へば、水にうかぶこがねのいろ、夜ふくるまゝすみ渡りて、雁飛鹿鳴秋の夜の長きもわすれて、遠寺の鐘を聞給ふ。
広島県教育委員会縮景園史』p80


雨によろしかった梅雨が終わって、明月を迎える中秋はあっというまにやって来る。秋が待ち構えているから夏を我慢できるのだと思わんことには。