環藝録

写真でつなぐ広島風物記録

螺山(にしやま)

角川日本地名大辞典34』では、前項で挙げた「虹山」の直前に書かれている。

にしやま 螺山<安佐北区>
広島市北郊、安佐北区可部町勝木にある独立峰。標高475m。山は古生層からなり巨石が多く、頂上からは可部町地区一帯や特に南を曲流しながら流れる太田川の眺望が良い。北麓の大毛寺は花崗岩になっていて緩斜面の発達が良く、大規模な住宅団地が広がっている。

前々項に使った『国郡志御用につき下調べ書出帳』では「西山」と書かれる。語源は「可部の西に見える山」でよさそうだ。
では、同様に「螺山」の表記を持つ地名はないものかと、google:"螺山" -"可部"で検索してみる。
同じ「にしやま」の読みは愛媛県砥部の「辛螺山」が見えるくらいで、ほとんど「螺」は別の読みで使われている。
多くは「○螺山」のかたちで「ラ」の音読みとなる。佐賀の「青螺山」や中国の地名(「螺山」「紅螺山」)などがある。訓読みでは兼六園の「栄螺(さざえ)山」、呉市広長浜の「螺(つぶ)山」が見える。
人名では、雅号として「螺山」、名字に「螺山(ほらやま)」が見える。普通名詞で「螺山(ねじやま)」は「螺子山」とも。

ニシ(タニシ)・サザエ・ツブ・ホラ、いづれも渦巻く貝に準えた命名である、となると、「西」から変化した「螺山」は「ニシ」の形に似ていなくてもいいのではあるけれど、呉市の「螺山」の写真と見比べると形が似ているなと思わなくもない。

 ラ たにし・うずまき
形声 声苻は累。累にたばね累ねる意があり、巻貝の形のものをいう。螺髻・螺髪は巻貝のような形の髪で、仏像にその形のものが多い。(下略)
白川静『字統』

参考

Mountains in Kure city http://www.cam.hi-ho.ne.jp/byasa/index.html