環藝録

写真でつなぐ広島風物記録

誓真釣井



誓真はもと伊豫の人で、天明のころ厳島に来て神泉寺の番僧となり、竹林庵に住んでいた。種々の公益事業を行ったことで知られている。飲料水の不足に苦しむ島民のため、各所に井戸を掘った。それらは今日誓真釣井とよばれている。また石段を築き、道路を石だたみにした。宮島名産の「飯杓子」も、島民に生業を与えるため、誓真が弁財天の琵琶の形から着想して島民に教えたものという。

という立て札とともに御影石の井桁が民家の間にある。10ヶ所掘り当てたとされる内の、4ヶ所が現存し、ほか2カ所は筒だけが残る。

藝藩通志』には「孝義」の項目に「誓信」の名で載っている。

道心者誓信 口に佛名を唱へつゝ、手にさま〴〵*1の調度を作りて人にあたふ、又島中古き井をほりさらへ、通路をなをし、石壇などきづき、人の爲に力を盡して、その身の事は少しもはからず、寛政三年*2六月、賞あり

*1:さまざま

*2:1791年