環藝録

写真でつなぐ広島風物記録

旅立ちの唄

遣新羅使が出発するときの歌から巻十五が始まる。

三五七八 武庫の浦の入江の渚鳥羽ぐくもる君を離れて戀に死ぬべし
新訂 新訓・万葉集〈下〉 (岩波文庫)

長井浦・風速浦ときて、

三六一七 石走る瀧もとどろに鳴く蝉の聲をし聞けば京都しおもほゆ

からの五首が長門島停泊中の歌。
そこに歌われる島の様子は、石・瀧・山川・ひぐらし・小松原といった言葉にあらわれる。


本浦の東部に桂浜神社があり、その正面の松原が故地として史跡とされた。
神社の由緒として、

「わがいのち長門の島の小松原 幾代をへてか神さびわたる」
という表現をもって何らかの神社が鎮座していたと思われるとする。