環藝録

写真でつなぐ広島風物記録

天神鼻


白崎園から南に見える「天神鼻」は大津泊と丸屋湊とを分つ細長い丘陵。

文化12年の『蒲刈志*1に、多賀谷氏の居城「丸屋」の説明文中に、

左ハ天神鼻トテ小丘海上二百間ハカリ出、松樹蒼々タリ、其中間ニ小社アリ、此即菅公廟也、例歳九月廿五日祭祠也、

とある。島全体からも特徴的な地形であるため、同書の「総志」に、

又此ノ島ヲ世俗龍島*2ト曰、地形蟠龍ニ似タリ、故ニ名ケ而天神崎*3ヲ龍舌トシ、尾鼻*4ヲ龍尾トスト古来言伝フ

という見立てがなされたことが記されている。
現代においては、平成3年の『下蒲刈 ガーデンアイランド構想計画報告書』*5に「下蒲刈八景」の一つとしてあり、

天神鼻の地形の面白さとアカマツ林の美しさは、説明するまでもないが、尾根道からアカマツの幹間に、海や島が見通せるところが数箇所あれば、さらに申し分のない景が生まれる。

見られる場所としてだけでなく、周囲を見わたす側としても期待される場所とされる。

*1:下蒲刈町史 資料編』所収

*2:ジャジマ

*3:テンジンバナ

*4:ヲヽノハナ

*5:下蒲刈町史 資料編』所収