環藝録

写真でつなぐ広島風物記録

賀茂郡の土産

寛文国郡志こと『芸備国郡志*1の「土産門」には、まだ西條の酒は載らない*2賀茂郡の産物としては「西條柿」「竹原*3塩」「土器*4」「皮鞋*5」が挙がっている。
竹の皮で作る「皮鞋」は賀茂郡の『郡辻書上帳』において「當時無之」としている。
「土器」について『芸備国郡志』では、「賀茂郡西條郷作陶器、或燈盞或酒器随用在矣」とあるのに対して、『藝藩通志』では「原村に、素焼の物を造り、仁方村には、薬かけの物を製す」*6というふうに、村ごとに調査しただけあって詳細になっている。

「原村」は「西條庄」26ヶ村のうちにあり、「仁方村」は「浦辺筋」の10ヶ村のひとつ。
村の数では、「土器」の次にある「瓦」の方が多く、「高屋、東堀、白市、四日市、菅田、三升原などに焼く、多く油瓦を製するなり」という。
西條庄の中心近く、国分寺跡を擁する「吉行村」の「國郡志御用書上帖」*7に茶碗使用の一例が見える。

農家ハおしなへて囲炉裏に自在ヲ釣、釜ヲ掛テ、茶ヲ煮ル事ニ候へ共、就中柴扉に住ム老輩等別而茶を好ミ、適同朋の問來る時は合子至テ廉焼の茶碗大ナルハ水弐合余入るも有是をゴスト唱に茶を立テ出し候、(略)

*1:『宮島町史』から

*2:三原酒・尾道酒は載っている

*3:たかはら

*4:かはらけ

*5:せきだ

*6:巻八十 安藝國賀茂郡四 物産

*7:『西条町誌』所収