環藝録

写真でつなぐ広島風物記録

西条川・黒瀬川



現在では上流下流ひっくるめて「黒瀬川」のところが、『藝藩通志』では「西條川」の項目名になる。

西條川  源は、並瀧寺池より發して、南に走り、西條庄の内篠、正力、米満、諸村を經て(略)また西南黒瀬庄諸村を經て、黒瀬川とよぶ、郷原と廣との界にて、俄に二級の瀧となる、これ名におふ廣の大瀧なり、夫より南に流れ、漸く平川となり、遂に海に入る、(略)
巻八十 賀茂郡

文中で、黒瀬庄に流れてからの名として「黒瀬川」があらわれる。
確認のため、同書の村絵図での河川名を上流から並べてみる。

村名 河川名
篠村 -
正力村 西條川
米満村 西條川
寺家村 西條川
西條東村 -
四日市次郎丸村 西條川
十文字 西條川
御園宇村 西條川
下見村 西條川
田口村 -
国近森近村 西條川
馬木村 黒瀬川
宗近柳国村 黒瀬川
南方村 黒瀬川
乃美尾村 黒瀬川
川角村 黒瀬川
丸山村 黒瀬川
菅田村 黒瀬川
上保田村 黒瀬川
楢原村 黒瀬川
兼広村 黒瀬川
市飯田村 黒瀬川
切田村 黒瀬川
兼澤村 黒瀬川
郷原 黒瀬川
廣村 黒瀬川

というふうに、国近森近と馬木を境にはっきり分かれている。
『国郡志書上帳』などの村ごとの資料でも同様に、「西條川」と「黒瀬川」が用いられる。

  • 西條川:寺家村・田口村
  • 黒瀬川:兼澤村・兼広村・郷原
  • 大川:広村・馬木村

とくに固有名詞を記さない場合、村内でもっとも大きい川ということで「大川」という部門に属すると書かれるのみ。他の支流は「小川」にまとめられる。

参考

『西條町誌』
黒瀬町史資料編』
呉市史資料編近世II』