環藝録

写真でつなぐ広島風物記録

水害之碑(安芸郡矢野村)

kanototori2012-06-19
安芸区矢野の中心部を流れる川は、宮下川と矢野川の二本がある。


明治42年建立の「水害之碑」は、町の東部の支流を集める「矢野川」に架かる矢野橋のたもとに立っている。明治40年の水害についての記念碑。
『新修矢野町誌』には「第四章 社会生活」の「第二節 各種建造物・施設など」という項があり、記念碑や寺社・公共施設が一覧表になっている。この水害之碑については、

集落の外れにあって小高い川筋に位置したことで、死者の銘を刻んだこの碑は常に水害地付近を眺める形となり、またその碑に気付いた人々も碑同様に、生きてその付近を見通すことができたはずである

と、その立地の意味合いが再確認される。

題字「水害之碑」は当時の県知事宗像政*1による。本文は県の桑原事務官が黒田村長に請われて撰文、同じく県属の荒木新造による揮毫。
「又如此之災蓋属稀有之變則安可不傅之久遠乎」といった刻字は現在もくっきりと読み取れる。

*1:むなかたただす