環藝録

写真でつなぐ広島風物記録

巡錫の求聞持堂

弥山の山頂手前には、弘法大師が修行したと伝える求聞持堂。「付近には原始的な磐座信仰の対象とみられる巨岩が多く、これに習合した真言密教の遺跡が少なくない」ということで、古くから誰かしら修行に訪れたのには違いない。

ここに限らず、修行者が「大師様の導きで」と言えば(思えば)、まわりの山川草木に伝説が結びつく。
藝藩通志』巻十六「名勝古蹟」には、求聞持堂近くの「閼伽水」「錫杖梅」「瓶花柏」「曼荼羅石」が挙がっている。「梅は空海錫杖を建置しが生ひつき、柏も同じく、供佛瓶花を土に挿し置けるが生ひたりといふ」というように空海とのゆかりが書かれる。*1


「巡錫の梅」は金網で八角に囲まれている。
弘法大師が立て掛けた錫杖が根付き、八重紅梅が美しく咲く。山内に不吉な兆しある時は、咲かないといわれる。(弥山七不思議のひとつ)」との紹介。

*1:「泉石樹卉の奇異なるも、此部の末に類聚す」