環藝録

写真でつなぐ広島風物記録

資料に残る故人の関心

廿日市町史 資料編 2 (近世 上)
https://id.ndl.go.jp/bib/000001230655
は、廿日市町時代の範囲の近世村ごとに関係文書を排列した資料集で、検地帳や地詰帳、国郡志御用につき下調べ書出帳などの史料から近世の村勢を探る手がかりとなる。
村ごとの史料の前に郡全体を扱う「佐伯郡関係文書」があり、さらに冒頭には広島藩全域を対象とする郡勢資料『芸備郡要集』が収められている。
この芸備郡要集は、旧廿日市町域以外の地域を調べる資料としても参照される。他の自治体史には収められていないようなので(「郡要集」で検索した限りは)、昭和50年の刊行時に重宝されたことだろう。

手元にある『廿日市町史 資料編 2』には「郡要集」五一番目の項目などの「御巡見衆」に関する記述に赤鉛筆で線が引かれている。可部町郷土史家の故下野岩太先生の旧蔵書であることによる。

御巡見衆者郡々不残御巡行村々毎江御入込ニ者無之、郡元又者間駅等御休泊ニ相成、防州岩国領関戸ゟ御移佐伯郡玖波村御泊、(略)

昭和51年に
高宮郡へ来た幕府巡見使 (郷土史話 ; 第5集)
https://id.ndl.go.jp/bib/000001945005
を著しており、『郡要集』の中の幕府巡見使に関する記述と、高宮郡やそれに隣接する郡との交通事情についての記述にあたった痕跡となっている。