水量が期待できない、そんな熊野川。
熊野・熊野跡・上瀬野と流れるなかで、上瀬野では「荒谷」の平地が川沿いの集落としては広い。
なので、『文化度国郡志』の上瀬野村*1には「荒谷大川」や「荒谷川」の名で書かれている。「大川」は村内での大きな川二つに対して用いられていて、もう一つの「大山大川」は今の瀬野川のこと。
一 大山大川
幅 | 広き所拾参間
| 狭き所六間
此川上賀茂郡宗吉村ゟ流出、当所迄凡弐里
一 荒谷大川
幅 | 広き所弐拾壱間
| 狭き所九間
此水源熊野村ゟ流出、当所迄里程凡三里
右両川、当所落合と申所ニ而一緒ニ相成、海田沖ニ而海江入申候、此里程三里
とあり、川幅と上流の距離のどちらも荒谷大川のほうが規模が大きい。そのためか海田市では「海田の瀬野川 http://d.hatena.ne.jp/kanototori/20100421/1271867041」で見たように、「川上熊野村ヨリ賀茂郡跡村、瀬野筋より川下当所沖江流出」と表現される。
くわえて水の確保に苦労することも強調されている。
一 当村形勢気候民戸産業之事
(略)
大川二筋御座候得共、田畠江水懸り不申場所数ケ所御座候而、雨池水与両様ニ而稲作生立申候
(略)