環藝録

写真でつなぐ広島風物記録

火の粉はらはら十二神祇

神社の前、道路に面して町内会の掲示板があって、ちょうど見かけた時は「平成20年大歳神社秋祭り」のお知らせが貼られている。カミキリムシもくっついているが。
昨年の日付は前夜祭が10月18日、神楽・煙火が午後5時30分、例大祭・子供神輿がその翌日、とある。
『いのくちばなし』(平成2年)にも、

いのくちの神楽は、ようつづいたもんじゃ。
わしらのおじいさんの、その前のおじいさんも舞いよったから三百年からの伝統がある神楽でのう。
また、煙硝のものすごいこと。昔はたのまれて草津の港祭りや、五日市にも行ったりしたもんじゃ。
花火に入れる炭は、桐の木の炭でないとだめで、これに混ぜ合わせる硫黄、硝石、鉄の粉など、その調合がそれぞれの家伝として秘密にしていたもんじゃ。たまに煙硝がはじけて手足をやけどした時などには、小便つぼにつっこんだら、早うなおるとかいうたりしとった。

と、この地域で特徴的な火薬の使用が語られる。「草津」は井口村の東隣、「五日市」は西隣。

拝殿の横に鉄骨(昔は木)で建てた舞殿で舞う。この神楽は大変動きの激しい舞で、舞殿にムシロを敷き水を打つ。その上で白足袋で演じる。夜頃から明け方まで篝火が焚かれ、神楽の演目の切れ目ごとに花火による美の芸術が展開する。二〇〇年くらい前から続いていたが、戦中・戦後一時中断した。昭和五十年(一九七五)ごろ復興した。用具には昔のものも含まれている。
広島市『井口村史』平成四年


まあ、実際に見ずに委細は尽くせないわけで、
井口地区民芸保存会による「井口十二神祇神楽 〜吹き火と十二神祇の神祭り〜 」のページを見るのが一番てっとりばやいのでした。