環藝録

写真でつなぐ広島風物記録

梅慶庵の塚穴

石室の規模について、説明板内では、

玄室の奥壁の幅3.02m、奥壁の高さ4.21mで、巨石が3段に積まれている。(略)入口は東に開口しており、奥壁までの長さ13.25m*1で、県内最大の横穴式石室である。

とある。左右から張り出した石で羨道と玄室が区切られる。

左側面に電灯のスイッチがあるので、内部をはっきりと見ることができる。
『日本歴史地名大系35』には、享保3年*2の豊田郡上北方村指出帖からの引用がある、ので孫引き。

梅慶庵塚開一つ、長さ六間半、横一間半、高さ二間二尺。入口三間分、高さ一間半、奥三間半、高さ二間二尺、天井両脇共石三つ

石室の全長を約11.8mとし、奥壁部の高さが約4.2mとなり、それよりぐんと低くなる羨道部(「入口三間分」)は約2.7mと記録される。現存全長を測るよりも短めな奥行になるのが、当時の捉え方としては自然かと。
また、奥に行くと高くなるのが大事なことなので二回書いたかのように見えたりする。


それから百年ほど経って文政2年提出の上北方村の下調べ書出帖*3にも「梅慶庵 塚穴」が古蹟の一つとして記されている。

此ノ塚何タル申伝ヘモ無之御座候得者何様上古造リタル物ト相見ヘ申候

と、何らかの伝説が加わるでもなく、あっさりした書きようになっている。

*1:現存全長

*2:1718年

*3:前項参照