環藝録

写真でつなぐ広島風物記録

三之瀬の向こう

そんなふうに、『蒲刈志』では「浅黄ヶ瀬戸」の呼び名が由緒あるものとして位置づけられる。三之瀬の向かいの「向浦」の項にも用いられる。

向浦
(略)午申之間梳山、俗串山アリ、蔚然トシテ玉樹青蒼タリ、西浜ハ急潮漲流ル、浅黄ヶ瀬戸ナリ、向岸ハ対三之瀬、(略)


それに続いて、三之瀬から見える上蒲刈の山並みを「臥釈迦」に見立てている。波静かなときに「山影映海水」「正影相合シ」た様子が佛の臥せた姿のようであるという。

白崎為頭刈浜為腹向浦為腰梳山為足、又梳山為蓮華台




向かって左端が「白崎」。「刈浜」に迫る山林が続いて、奥まった集落が「向浦」で、その右手にある山が「串(梳)山」。「向」地区は昭和22年まで「下蒲刈島村」の一部だった*1